動植物の訳し方

 

動植物の訳し方

 

翻訳のむずかしい動植物の名前を翻訳する場合には三つの方法が考えられます。その第一は英語名をそのままカタカナ書きすることですが、これは読者によっては分からないこともあるので、できるだけ避けることが望ましいといえます。

 

原語のカナ書きのままで置いておくのは翻訳者の怠慢か、あるいは無能を示すものであるといわれても仕方がありません。

 

例えばlionはライオンでよいですが、daffodilはダフォディルではなく、ラッパ水仙とします。どうしても日本語訳がない場合には、カタカナ書きしておいて、註としてカッコまたは欄外に説明を加えておくとか、ラテン語学名を示しておくとかするのも一助となるでしょう。

 

第二は全く同一の動植物名の日本語を示すか、またはほぼ近い動植物の名前を日本語で示すことです。例えばbonitoは「カツオ」と全く同じです。またpampas grassはそれに近い「ススキ」と訳すようにします。

 

なお例えば「ホオジロ」に当る鳥にはcorn bunting, yellow bunting, black-headed bunting, reed bunting, snow buntingなどbuntingとよばれる鳥がたくさんいます。そこで翻訳者たるもの「ホオジロ」はこれらのうちのどれに当るのかを、鳥類の専門家に聞いて確かめるとか、鳥類図鑑で調べるとかの労を惜しんではいけません。

 

第三は、英語名と日本語名とで全く違ったイメージを喚起することがあり、このような場合には同じイメージを与える別の動植物名に書き換えて翻訳する方法があります。

 

例えばThey are very unappreciative guests and to serve them so lavishly is to cast pearls before swine.などは<豚に真珠を投げ与える>とするよりは、<猫に小判>としたほうがよいです。

 

以上要するに、正確さと、文中でのイメージの二つを考えながら翻訳するという細心の注意を怠ってはなりません。