固有名詞のカタカナ表記法

 

固有名詞のカタカナ表記法

 

外国人の名前や外国の地名などの固有名詞のカナ書き表記法が一つの文章のなかで一定していないのは見苦しいです。

 

例えば最初に「ベニス」と書いておきながら、あとで「ヴェネツィア」と書くような不統一はいけません。この場合は、「ヴェネツィア」のような学のあることをてらったような表記ではなく「ベニス」という既に慣用になっている、単純な表記法に従うのがよいでしょう。

 

一般原則として、慣用化したカナ表記法(日本語の辞書にのっている)がある場合にはそれに従います。慣用カナ書きのない場合には、できるだけ原音に近づけた表記をします。しかし英語と日本語とでは音韻構造が違うから完璧にカナに移すことはしょせん不可能です。

 

そこで無理に原音に近づけるのもよいですが、それよりも日本人の発音しやすいようなカナ書きにするのがよいでしょう。

 

例えば日本語には[ei]のような二重渡り母音はないので、”case”は「ケイス」とするより「ケース」と長音表記するほうが発音しやすく、自然なわけです。またMaryは「メアリー」とするより「メリー」とします。

 

人名はウィリアム・シェークスピアのように、姓と名のあいだは中黒「・」を用いて区切ります。ウィリアム=シェークスピアのようなダブルハイフン「=」による方法は避けましょう。

 

英語の語尾-sの発音は、無声子音のあとなら「ス」(sの清音)、母音および有声子音のあとなら「ズ」(zの濁音)で発音するという規則があります。

 

しかし日本人にはそれにはおかまいなしに勝手に「ス」にしたり「ズ」にしたりして、Timesをタイムス(正しくはz)、salesmanをセールスマン(正しくはz)、newsをニュース(正しくはz)と書き、逆にlooseをルーズ(正しくはs)、close-upをクローズアップ(正しくはs)と書きます。

 

しかしそれで定着したカナ書きになっている場合にはその慣用に従って表記することとします。ニューズとかルースと書くとヘンな気がするので、この場合は正確さよりも慣用が先行します。