スラング辞典の必要性

 

スラング辞典の必要性

 

英米の標準辞書には人前で口にすることをはばかれるような卑猥語や禁忌語のたぐいは一切収録していないのが普通です。

 

しかし英米の小説を読む場合にはどうしてもそのような言葉を収録したいわゆるスラング辞典がないと分からないことがあります。例えば次のアメリカの小説をみてみましょう。

 

Trembling inwardly with excited anticipation, I placed my thumbs against the plushy outer lips of her vulva and brushed the hairs away from her split. The flesh wiggled, opening wider to reveal her inner channel and hard little tip of her clitty. I lowered my face to the delightful pussy. -------- Cream of the swamp, by C. Aldrich

 

さて、最後の単語“pussy”を普通の辞書で引くと a cat の幼児語で「ニャンニャン」であるとしか説明がなく、これでは上の文章は全く意味不明です。
そこでスラング辞典でpussyを引くと、pussy: vulva, vagina, female pudenda(女性陰部)、coitus, sexual intercourse(性交)とあります。

 

一般に、性器または性交に関する言葉は、学術用語や医学用語を使ったのではどうしても堅苦しくなります。

 

日常使うのはどうしても俗語、または禁忌語になるというのが世界共通にみられる現象です。ここでpussyとは俗語で婦人の秘所をさす言葉です。

 

いわゆるスラングの使用はできるだけ避けるとか、十分な配慮のもとに場所をわきまえ、相手を見て使うかすべきですが、英米の本を読む場合や、そのような階級の人々の会話を聞いて理解する上では知っておく必要があり、知識として知っておかないと困ることもあります。

 

どうしても翻訳者にはスラング辞典が必要です。

 

スラング辞典としてはA Dictionary of Historical Slang, by E. Partridge, Dictionary of American Slang, by Wentworth and Flexner, およびA Dictionary of Slang and Unconventional English, by Eric Partridge (vol. 1 & vol. 2) が役に立ちます。