新語辞典を座右に備える

 

新語辞典を座右に備える

 

英語は(日本語も同様ですが)時代とともに絶えず変化しています。

 

例えば、
The guerrillas skyjacked a jet airliner and held 430 passengers as hostage.

 

という文の中のskyjackedは英米の標準辞典を引いてみても出てきません。

 

これは1970年ごろから使われはじめた新語です。このような場合、標準辞典は役に立ちません。ここで新語辞典を引いてみると、

 

Skyjack: (v.t.) to hijack an aircraft and fly it to a place other than its original destination.
と出ています。

 

そこで今度はhijackを標準の辞書で引くと、

 

Hijack: (v.t.) to take over or commandeer by force a vehicle in transit, especially airplane.
と出ているのでskyjackとは航空機を乗っ取るという意味であることが確認されます。

 

新語の収録という点では標準辞書の編纂者は非常に慎重です。

 

新語の中には定着するものもありますが、中にはすぐ消えていくものも多いです。

 

そこで昨日今日に生まれた新語をおいそれと標準辞書に収録することに対して極度に憶病です。

 

ある程度の観察期間をおき、それが確かに定着したことをみとどけてから辞書に収録するという手順を踏むのが普通です。

 

そのため、それまでの間はどうしても標準辞書のほかに、新語辞典を併用せざるを得ないわけです。

 

この点、日本語の場合も同じで、1970年頃から、多くの異なる専門分野、学問領域の間で協力するという意味の「学際的」という言葉が使われ始めました。

 

これは英語のinterdisciplinary(この語もまだ英米の標準辞書には収録されていない)を日本語に翻訳したもので、翻訳にあたっては明らかに「国際的」(international)からの連想による影響があります。

 

しかしこの「学際的」はこなれた日本語、違和感のない日本語として定着しているとは認められていないので、日本語の標準辞書にはまだ収録されていません。

 

このような事情のもとではどうしても英語や日本語の新語辞典が必要になります。

 

新語辞典としてはA Dictionary of New English, by C.L. Barnhart et al.があり、第1巻(New English 1963-1972)と第2巻(New English 1973-1979)のように十年毎に次の巻を出しており、英語の変化がよく分かるわけです。